『家系図より“縁”をふりかえる!』
目次
(1)家系図でふりかえる“争族”危険度
(2)家系図が教えてくれた忘れていた“縁”
今回のコラムを担当させて頂くのは、理事で縁ディングノート認定講師の寺門美和子です。
私は『お金と相続と夫婦問題の専門家』として、夫婦・家族問題の問題のコンサルタントをしております。
私のエンディングノートデビューは意外と遅く、2017年52歳の春。48歳で熟年離婚をして人生をやり直し、夫婦問題カウンセラーとFPの二刀流で歩み始めた頃でした。はじめて書いたときに「夫婦問題で悩んでいる頃書きたかったなぁ」と思ったものです。悩み苦しんでいる時には、自分の過去や未来に想いを寄せることはできない。しかし、少しでも過去想いだしや未来を考えることで、自らの今を変えることができたのにと思ったからです。
仕事柄、相談者の方の人生に関わることが多いのですが、問題の解決方法で悩んでいる方に、縁ディングノートをツールにお話をすることで思いもしない展開になることがあります。今回はその中でも『家系図』について、お話させていただきます。
(1)家系図でふりかえる“争族”の危険度
私はコンサルで縁ディングノートを書いていただく際に、まず『家系図』から始めて頂きます。ご相談者様はスラスラ書くというより、言葉を発しながら書かれるのが興味深いところです。「最近〇〇に会ってないなぁ」とか「兄家族とは仲良しですが、妹家族は自由気ままで実家にはよりつかないんですよ」とか「父方の家族とは疎遠です」など、それぞれの家族のドラマの入り口をみせて頂きます。
家系図を元にヒヤリングをする中で、注意をしている関係がいくつかあるでご紹介しますが、これらは争族の注意喚起にも繋がるのです。
- 家族に離婚経験者がいる
- 再婚をしてステップファミリーがいる
- 本人がおひとり様
- おひとり様の兄弟姉妹がいる
- 親の兄弟姉妹におひとり様の伯父伯母(叔父叔母)がいる
■1.家族に離婚経験者がいる
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争族問題の話の関係者の中に「再婚した家族vs元配偶者との間にできた子」という話をよく聞きます。離婚して長年会っていない子、特に「会わせてもらえなかった子」に、自分の遺産を遺すことにためらう方も多いようです。また、私の様に「離婚したらおひとり様」となるケースも多く、のちのち多くの家族に迷惑がかかる場合もあります。
■2.再婚をしてステップファミリーがいる
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ステップファミリーとは、再婚相手に子どもがいて、新しい家族関係を結ぶスタイルのことを指します。ここで気をつけて頂きたいことは、再婚相手の子と養子縁組をしていないと自分の相続人にはなりません。婚姻届けを提出しただけでは、戸籍上の親子関係は結べないのです。
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木野綾子弁護士と寺門の美和子の共著『別れても相続人』(光文社)
■3.本人がおひとり様
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もし、自分には近しい身内がいない場合、老後の生活や介護は誰がしてくれますか?また、葬儀や埋葬は誰が執り行ってくれるのでしょうか? 更に多少なりとも資産がある方は、その資産を持って天国へはいけません。遺言書で遺贈しないと国庫に帰属することになります。
■4. おひとり様の兄弟姉妹がいる
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自分には子どもがいるが、兄弟姉妹がおひとり様の場合、その兄弟姉妹の老後は誰が面倒をみるのでしょうか!? 争族の話にこの関係もよく現れます。また、その兄弟姉妹の相続人は自分も当てはまり、尚且つ自分が先に亡くなった場合は、自分の子どもが代わりに相続人となります。(代襲相続人)
■5. 親の兄弟姉妹におひとり様の伯父伯母(叔父叔母)がいる
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「4」の関係は親の兄弟姉妹にも当てはまります。親の兄弟姉妹がおひとり様で、親が亡くなっていると、自分が相続人となります。最近の相談で多いのが「田舎の空家の相続をした」というケースです。相続は+(プラス)の財産だけでなく、負の遺産を引き継がなくてはならないケースもあるのです。
普段は、目の前の生活でいっぱいいっぱいになっていると思いますが、思わぬところに争族の種は潜んでいるのですが、縁ディングノートを書くことで早期発見・対策を打つことができます。
(2)家系図が教えてくれた忘れていた“縁”
前記では『家系図』と争族についてお話をしましたが、もちろん良い気づきを得ることもできます。小さいころは交流していた親戚のことを想いだしたり、その周辺の出来事や景色を思い出して自分自身が忘れていた「何か」に気づいたり、問題解決に繋がることもあります。
だから縁ディングノートを「人生の棚卸」と表現される方もおり、起業や転職、結婚や転居などの新しいステージに向かわれる方もいるのです。
“縁”って不思議です。自分で人生を設計しているつもりでも、何かに導かれて動くこともあります。縁ディングノートと向き合うことで、より豊かな人生を送っていただく提案ができる人を一人でも多く育てることが、笑顔溢れる日本を創造することに繋がると信じております。
(文責 理事 寺門美和子)