『縁ディングノートで“お金”と向き合う』

目次

(1)老後2000万円問題・私のお金は足りるの?

(2)老後破綻しない為の“お金と寿命”の関係

 

今回のコラムは『お金と相続と夫婦問題の専門家』FPの寺門美和子が担当させて頂きます。今回はFPとして、皆さまにお金との“縁”を深めて頂きたく、エンディングノートの更新時に私がしていることをお伝えさせて頂きます。

 

エンディングノートの中身を大きく3つに分けると下記の様になるかと思います。

1:個人情報・資産の明細

2:想い出やお世話になった方へのメッセージ

3:終活へのリクエスト(病気・介護・葬儀)

 

その中で「1」の資産の明細について考えてみましょう。

(1)老後2000万円問題・私のお金で足りるの?

来年還暦を迎えるおひとり様の私にとって『老後のお金』は他人事ではありません。仕事柄、ご相談者様のお金について向き合うことは多いのですが、忙しさから自分の事はついつい後回しになってしまいます。それはまずいと思い、2024年の私のエンディングノートのテーマは“お金と向き合う”ということにしました。

 

私は10年前に離婚をしたのですが、元夫は資産運用が大嫌いで、資産運用=悪と捉え、預金以外には少額の年金保険しか加入していませんでした。そこで将来が心配となり、離婚後、介護保険・年金保険・投資信託を購入しました。不勉強で、銀行員のアドバイスで購入した商品はほとんど「失敗」(笑)2017年にFP資格を取得した時に猛反省をしました。

 

しかし、その後も仕事・勉強が優先で、自分の資産形成は後回しだったのですが、当協会の理事に就任するにあたり流石に「それはまずい」と思い今年のエンディングノートの目標は“お金と向き合う”ことに変更をしました。

 

【老後のための“お金との向き合い方”】

1:GOALを定める

2:不要な通帳を解約する

3:1つ1つの保有商品と向き合う

4:新しい商品を検討・購入する

5:資産の切り崩し方

 

私の場合は、上記の4つのタスクを掲げ、現在「4」を遂行しているところです。今年から、新NISA制度がスタートをしたのも佳き機会となりました。

 

■1.GOALを定める

おひとり様の私にとって、自分自身で体を思うように動かせなくなり、身の回りのことができなくなった際に「どの様に生活をするのか」は人生のテーマのひとつです。ですから、終いの住まいは介護型の施設に入居することになると思います。ただし、住まいにはこだわりたいのである程度グレード感があり、サービスの良いところに居住したいと思うのです。そこで90歳入居を想定し、20~30年は資産運用ができると仮設して「目標〇〇〇〇万円」と定めました。

 

この数字の根拠となるのが、WPPという老後の資産形成のポイントです。

W:Working longer 長く働く

P:Public pension  公的年金を繰り下げ受給で増やす

P:Private pension NISAやiDeCoで自分年金を創造する

 

その為に重要なことは、

  • 長く働く為の基礎体力作り(整体とジムに通っています)
  • 公的年金受給を70歳にし42%UP

(65歳から70歳の間は無年金で生活できる基盤作り)

  • 上記で不足する分をNISA等で資産作り

 

50歳以上になったら毎年誕生日の後に届く「ねんきん定期便」は必ずチェックをしておきましょう。

 

この様に自分のGOALを設定できたのもエンディングノートのお陰なのです。自分の人生の棚卸をして、将来を考えた時に「自分の答え」に出会えました。

 

■2.不要な通帳は解約する

一時期メガバンクの統廃合ラッシュで同じ銀行の通帳をいくつも持っていませんか?私もメインバンクで3つの通帳がありました。どれも使用していたのですが、これを機に1支店は解約、残りは仕事・プライベートで分けています。これだけでも、スッキリ!また、ゆうちょ銀行もあまり使っていなかったので解約も検討しましたが、ここは地方への出張に行く際に便利なのでキープ。資産運用の原資を保管する口座に変更しました。

 

■3.1つ1つの保有商品と向き合う

私の資産構成は下記の4つです。

  • 現金(普通預金・定期)
  • 保険(医療・死亡保障・年金保険)
  • 有価証券(株式・投資信託)
  • 不動産

 

昨年末より①~③について徹底的に向き合いました。

*「①現金」は定期預金にしておく資金を見直し、一部を資産運用に回すことに。働いてもらうお金を増やしたのです。また今年に入ってから定期預金の利率も若干ですがUPしたので、定期預金の預け直しをしています。細かいことですが、この様に金利と向き合う意識が大切かと思います。

 

*「②保険」に関しては、私は配偶者も子どもいないので、利回りの悪い介護保険と年金保険(死亡保障付)を解約しました。離婚時不安だったのでしょう。ここの加入金額がかなり大きくなってました。しかし、私にとっては自分が亡くなった後の保障よりも、生きている間の老後資金の方が重要なので「老後に使えるお金」をコンセプトに資産構成を大幅に変更しました。

 

*「③有価証券」も利回りが悪いものは解約しました。

 

■4. 新しい商品を検討・購入

離婚当初は資産運用に無知でしたが、10年間で勉強を重ね、情報にアンテナを張り投資商品を見極める力がつきました。また、自分の知識が不足している部分は新たにIFA口座を開設し、アドバイザーをつけたのです。(IFA独立系ファイナンシャルアドバイザー・個別商品を扱える人)

 

ここで活きたのは10年間の失敗体験です。情報を得たいので、3つの金融機関に分際して今は運用をしています。今回私が行っている作業は「ポートフォリオの変更」というものです。ポートフォリオの変更というと、ついつい難しく考えてしまいますが要は「資産構成の変更」です。

 

この時も自分の目的は明確にしておくと商品の選択がしやすいと思います。私の場合は2つ。

  • GOALを目指した資産運用
  • 仕事柄、研究したい銘柄の購入

 

こうすると、運用成績に一喜一憂するのではなく、楽しい投資ができます。

 

■5. 資産の切り崩し

私のお客様の中には、資産運用をして使わない方もいらっしゃいます。それでは楽しみも半減してしまうので、使うことも考えてください。

 

投資大国の欧米では毎年の投資成績によって、使うお金の増減をしているそうです。要は、1年間で得た投資利益の部分を趣味や旅行、また増資資金とし、基本原資の取り崩しはしないとか。もちろん、年齢が高くなった際には原資を取り崩します。

 

(2)老後破綻しない為の“お金と寿命”の関係

老後資金を考える時に重要なのが寿命です。そんなことは神のみぞ知ることで、自分で決められることではありません。しかし長寿大国日本では『老後破綻』が増え、生活保護受給者の約8割は高齢者となっています。

 

*寺門が取材を受けた女性自身

 

なぜ老後破綻してしまうのか。それは「こんなに長く生きるとは思わなかった」「だからお金が足りなくなった」というところでしょう。では一体、寿命はどの程度考えたら良いのでしょうか?

 

老後必要なお金の計算式は、1年間の支出×寿命+臨時支出&終活費用 です。

 

私はこの寿命の部分について、毎年更新される厚生労働省『簡易生命表』を参考にしています。「1年間でどの年齢の方が一番多くなくなるのか」という数字を元に、長生きリスクに備えてみてはいかがでしょうか。下記が最新データーの死亡年齢順位です。

 

<男性:平均寿命 81.05歳>

1位:88歳

2位:87歳

3位:89歳

4位:86歳

5位:85歳

6位:90歳

 

<女性:平均寿命87.09歳>

1位:93歳

2位:92歳

3位:94歳

4位:91歳

5位:90歳

6位:95歳

 

上記をみると、平均年齢よりも高い数字なのがわかると思います。平均年齢は、残念ながら幼くして亡くなっている方のデーターも入るので、高齢者の実際の死亡年齢よりも低くなるのです。なので私は、老後のお金の計算をする際には、男性90歳・女性95歳を1つの目安にして頂きます。

 

もし余ったら?遺された家族への遺産・お世話になった方への遺贈・想いのある団体への寄付、そちらを考えてみたらいかがでしょうか。そうすることで、肉体が滅びてもこの世との“縁”を繋いでいくことができると思います。

 

(文責 理事 寺門美和子)