揉め事を扱う事が多い法律事務所だからこそ縁ディングノートの必要性を感じる事4

1 筆者の公正証書遺言 

筆者は法律事務所に20年勤務し、現在は法律事務所内の相続コンサルタントとして活動をしております。今回は、筆者の公正証書遺言作成体験記をお話させていただきます。そして、改めて感じた筆者なりの公正証書遺言と、縁ディングノートの位置づけについて、お伝えできたらと思います。 

 

2 筆者の法定相続人 

まずは前提として、筆者の法定相続人についてお話をさせていただきます。 

筆者は結婚をしておりますが、子どもがいません。現在の筆者の法定相続人は、主人、母の二人。母が筆者よりも早く他界した場合の法定相続人は、主人と妹の二人になります。そして、主人も妹も筆者よりも早く他界した場合には、法定相続人はいなくなります。 

 

3 なぜ遺言書を作成したかったのか 

なぜ遺言を作成したのかというと、端的に言うと、筆者の残した財産をめぐって、もめないようにするためです。具体的には、筆者の財産を相続する手続きの際に、少しでも嫌な思いをしてほしくなかったからです。筆者のように、相続人がいなくなる可能性が出てくる方、相続人がもめそうな方、相続人が兄弟姉妹となる可能性がある方は、特に遺言書を作成が必要となります。 

筆者の場合は、相続人に兄弟姉妹が含まれる可能性が出てくることと、相続人がいなくなる可能性が出てくることの二つのもめる可能性が大きくなる理由から公正証書の作成に至りました。 

ちなみにもう少し具体的に遺言を作成した方がいい方をお伝えすると、①子どもがいない家庭、②おひとり様の方、③経営者の方、④再婚して前の配偶者との間に子どもがいる場合、⑤婚外子がいる場合、⑥認知している子どもがいる場合、⑦相続人以外の人に財産を残したい場合など、こんな方は遺言が必要です。 

なぜなら、遺言で財産の受け取る方を指定しておくことで、受け取る人が財産を受け取りやすくなるからです。 

 

4 筆者にとっての遺言作成の目的 

もちろん、遺言作成の目的は、先ほどお伝えしたようにもめないようにしておくことが大前提ですが、それだけではありません。遺言で、筆者の想いを実現させたいと思って作成しました。 

筆者は、日ごろ、「愛・感謝・貢献、それを実践」を人生の目的として生きています。いわば筆者の行動指針です。本来の筆者は思っていてもなかなか行動に移せないので、戒めのために「それを実践」を付け加えています。このため遺言の一部に、「救急車を寄付する」と書きました。このような想いにたどり着いたのは、縁ディングノートを書いて、「筆者の生きた証を残したい」と思ったからです。現状を把握し、筆者の想いを書き綴ったことで、これから筆者のしたいことが明確になりました。亡くなってからは遺言の通りに執行してもらえば夢も叶います。でも、今では筆者が元気なうちに寄付をして、喜んでくださる人の姿も見たいなと思えるようになりました。 

 

5 実際に公正証書遺言を書いてみて 

正直なところ、法律事務所に勤務しているせいか、縁ディングノートよりも法的効力のある公正証書遺言さえあればいいかな、と思っていたのも事実です。筆者の場合、公正証書遺言を作成したことで、実際に財産の分け方がスムーズになりました。そして、筆者の残された人への想いは、遺言書の「付言事項」である程度は伝えることはできました。しかし、付言事項があったからこそ、もめた事件も知っています。筆者も、自分の想いをすべて伝えられたかというとそうではありませんでした。 

それを補完するために、縁ディングノートが大活躍でした。縁ディングノートで現状を把握して、それから公正証書遺言を作成することで、遺言の内容もとてもスッキリしました。 

「公正証書遺言+縁ディングノートのセット」はとってもお勧めです。 

(文責:理事 竹内みどり)